スポーツの神様を祀る「水無瀬神宮」に引き継がれる「蹴鞠」文化 in 島本町

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スポーツの神様を祀る「水無瀬神宮」に引き継がれる「蹴鞠」文化 in 島本町

この記事の取材は、その時点の環境下で推奨されていた新型コロナウイルス感染症対策(マスク着用など)のもと実施しました。

ゴトスポ記者の正司です。
私の住む大阪府島本町のパワースポット、「おいしい水」と「スポーツの神様」水無瀬神宮に関わる第2弾。スポーツの神のゆえんである「後鳥羽上皇と蹴鞠」についての歴史秘話と、生涯スポーツとして蹴鞠を普及する活動をされている方々をご紹介します。

スポーツの神様 後鳥羽上皇と蹴鞠(けまり)

日本における蹴鞠についての最古の記録は、7世紀(644年)の日本書紀だそうで、大化の改新の立役者である中大兄皇子(のちの天智天皇)と中臣鎌子(のちの藤原鎌足)らによって行われたと記されています。
蹴鞠の歴史の長さにびっくり。
この当時の蹴鞠は、(私もそうですが)球技好きの貴族の間でのちょっとした遊びごとだったのでしょうね。貴族たちが宮廷で、華やかな衣装をまとい蹴鞠で遊んでるイメージはしっくりきますよね。
<font color='blue' size='2'>(左)蹴鞠の様子(写真提供:水無瀬神宮)、(右)国宝「後鳥羽天皇像」(写真提供:水無瀬神宮 ※非公開)</font>
(左)蹴鞠の様子(写真提供:水無瀬神宮)、(右)国宝「後鳥羽天皇像」(写真提供:水無瀬神宮 ※非公開)
そんな貴族の軽い遊びごとのイメージの蹴鞠を「体育会系スポーツ」に一新させたのが後鳥羽上皇です。「そんなぬるい蹴鞠遊びじゃいかん!」と上皇がおっしゃったかどうかはわかりませんが、「後鳥羽上皇の蹴鞠に対する本気ぶりはすさまじく、高いテクニックを持つ蹴鞠の達人は「名足」と呼ばれ、後鳥羽上皇ご自身も達人たちとともに蹴鞠の鍛錬をされ、ある種のプロチームが作られていたようです。まさに現代サッカーのプロリーグの蹴鞠版といったところでしょうか(笑)

こんな流れで、第1弾でご紹介した水無瀬離宮「蹴鞠の会」で2,000回蹴鞠を落とすことなく蹴り続けたという記録が生まれました。

この日、後鳥羽上皇は水無瀬離宮(現在の水無瀬神宮)に当時の蹴鞠の日本代表(蹴鞠の達人たち)を呼び寄せました。もちろん上皇もその一人でご年齢は29歳。記録を狙うには絶好のタイミングですよね。公式な蹴鞠の会場には、正確に蹴鞠の回数を数える役割の方もおり、記録達成には数え方の上手さなんかもとても重要だそうですよ。変な数え方されたら蹴鞠に集中できませんもんね(笑)
会場スタッフ全員が一丸となって挑み、水無瀬の地で大記録は生まれました。
<font color='blue' size='2'>大記録が生まれたとされる水無瀬神宮の庭</font>
大記録が生まれたとされる水無瀬神宮の庭
ちなみに皆さん、2,000回達成するのにどのくらい鞠を蹴り続けたと思いますか? 蹴鞠を生涯スポーツとして今に引き継いでおられる「けまり鞠遊会」の方にお聞きしたところ、3時間以上は蹴り続けたのではないかとのことでした。蹴鞠はサッカーボールとは違い、とても軽い球なのでひと蹴りあたりの時間が結構かかるみたいですよ。ちなみに蹴鞠は鹿のお腹の部分の皮を使って作られるそうです。

水無瀬神宮で、蹴鞠(けまり)を体験できるかもしれません

後鳥羽上皇らの蹴鞠2,000回達成から800年あまりの時を経た今、蹴鞠はサッカーの源流にあたるスポーツとして語られることも多いですが、蹴鞠の根底にある競い合いではない、チームワークで繋げ合う精神が、現在に生きる我々にも多く共感を抱かせます。そして、この蹴鞠の精神を引継ぎながら、生涯スポーツとして蹴鞠の普及活動をされている方々と出会いました。
<font color='blue' size='2'>英姿颯爽 六人の鞠足たち(写真提供:けまり鞠遊会)</font>
英姿颯爽 六人の鞠足たち(写真提供:けまり鞠遊会)
「蹴鞠は日本独自の発展を遂げた球技です」「蹴鞠は言葉のキャッチボールです」「蹴鞠は健康寿命を伸ばしてくれる生涯スポーツです」「蹴鞠の楽しさや魅力を伝えたい。KEMARI文化を未来へつなぎたい」といった想いで活動されている「けまり鞠遊会」の皆さまと、蹴鞠の長者からスポーツの神さまとなった後鳥羽上皇をお祀りする「水無瀬神宮」とのコラボレーション活動が2021年から始まりました。

2021年、WMGと同様にコロナ禍で活動制限を余儀なくされる中、水無瀬神宮を活動拠点とした「みなせ野 KEMARIクラブ」が結成されました。感染防止対策を講じながら、けまり鞠遊会の皆さまのご指導のもと、後鳥羽上皇が2,000回を達成したとされる水無瀬神宮内のお庭に蹴鞠の練習場が設けられ、基本練習のための4つのコーナーを使っての「けまり練習会」がスタートしました。今年は2度の練習会が開催され、私も参加させて頂きました。サッカーが苦手な私ですが、これから「蹴鞠の名足(達人)」目指して頑張ります(笑)

今後も水無瀬神宮が拠点となり、生涯スポーツとして蹴鞠の普及活動が行われます。日本の蹴鞠がスポーツとして発展した起源ともいえる場所で、蹴鞠の練習ができるなんて素敵ですよね。さらに、水無瀬神宮の禰宜さまにお聞きしたところ、観光などで水無瀬神宮に来られた方にも蹴鞠を体験して頂けるよう、蹴鞠で着用する衣装などの用意もご検討中とのことでした。これは楽しみですね。私もうまくなったら衣装を着て蹴鞠をしてみたい!
■水無瀬神宮(みなせじんぐう)
所在地:大阪府三島郡島本町広瀬3丁目10-24
アクセス:阪急京都本線「水無瀬駅」徒歩10分
     JR京都線「島本駅」徒歩10分、「山崎駅」徒歩15分

■けまり鞠遊会 チームKEMARI
https://www.facebook.com/teamkemari

おまけ:島本町民の記者おすすめ!「食」をたのしめるお店

【喫茶】ハルカフェホームページ
居心地の良さはもちろん、燻師によるスモークナッツなどの燻製メニューもオススメ!

【包子・日本茶】岡村商店Facebook
こだわりの日本茶と、もちもちふかふかの包子のお店。台湾スイーツの豆花(トウファ)が、ボリュームあるのにスルッと食べられちゃう魔性のメニュー。

【ベーカリー】CoCoBakeryみなせ店Facebook
実はごはん派の店主さんが作る、玄米ペーストを練り込んだパン。お客さんのリクエストに応えた多種多様なパンの中でも、一番のおすすめは塩パン!

【駄菓子屋】島本灯製作所ホームページ
姿を消していく駄菓子屋がニューオープン! 3Dプリンタで作るコマなど、モノづくりの楽しさも味わえる子どもの居場所。

【コーヒースタンド】1976ホームページ
深煎り系コーヒーが好きならここ!こだわりのネルドリップコーヒーは店内でゆっくり。テイクアウトメニューはまち歩きのお供に。

【テイクアウト中華】しょうへいの焼売ホームページ
本格中華のテイクアウト専門店。どれもおいしいけれど、サラダが隠れた絶品メニュー。一度試してほしい。

【ごはん処】昼呑みごはん鮮酔丸Facebook
内陸部の島本町でおいしいお魚が食べられる感動! 各地の漁師さんから届くお魚を、女将さんが最高の一品に仕上げてくれます。

【島本ジビエ料理】リストランテ コンテホームページ
町内でシェフ自らが獲った鹿や猪のジビエ料理を味わえるお店。生地のうすーいピザは、見た目にビックリ! 食べて感動!

近隣で開催される
ワールドマスターズゲームズ
2021関西の競技

正司 宣彦
投稿者紹介

正司 宣彦

大阪府島本町在住。生涯アスリートを目指し、30年以上続けているテニスに加え、2021年からはスカッシュに挑戦中!いくつになっても新しいことにチャレンジできる身体と好奇心を持ち続けることを目標に日々を楽しんでます^^